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Web3におけるコミュニティの重要性と大切な考え方

この記事は「Web3×コミュニティ」をテーマにした連載企画の第一弾記事です。この連載では同一テーマで著名人へのインタビューやリサーチやコラム記事を掲載していきます。

第一弾となる今回は、Web3領域でコミュニティ支援を行う「TOMO」さんへのインタビュー記事となります。すでに実践されている方から「Web3におけるコミュニティの大切さと作り方」をテーマに聞いた記事となっているので、ぜひ最後までご覧ください!

自己紹介

— まず初めにどのような活動をしているか、簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?

はい、シンセカイテクノロジーズという会社のCCO(チーフコミュニティオフィサー)をやっています。シンセカイテクノロジーズは主にWeb3のコミュニティを支援する事業を中心にやっていますが、その事業を中心となって担当しています。

具体的には、実際に企業のお客さんに対してコミュニティ構築の提案や設計から始まり、実際の運営までを伴奏して支援しています。

他には「一般社団法人web3コミュニティ協会」を立ち上げ、代表理事をしています。この協会は市場の拡大や業界の健全化を目的に設立しました。

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— 以前からコミュニティに携わられていたのでしょうか?

元々、現Neo Tokyo Punks(NTP)の前進であるTHE WOLFというNFTプロジェクトのDiscord担当として携わらせてもらっていました。それが2021年の9月頃でちょうど日本でNFTが盛り上がってきた頃でした。

その時はコミュニティマネージャーという言葉はなくて、DiscordのITサポートみたいな位置付けでした。それより前からIT業界で仕事をしており、ITサポートは得意でした。

ただ、やっていく内にそれじゃ物足らなくなり、クリエイターさんやファウンダーさんに「こうした方がいいんじゃないか」とか、「世の中こんなトレンドでみんなやってますよ」とか、そういう相談をするようになりました。

そこからDiscordのIT担当からコミュニティ担当になっていき、徐々に市場も変化し始め、コミュニティマネージャーと呼ばれるようになってきました。

そもそもコミュニティとは何か?

— 続いて「コミュニティ」についてお伺いします。Web3だけに限らず、そもそも「コミュニティ」についてどのように定義されていますか?

僕も最初は「コミュニティ=ただの人の集まり」くらいにしか感じていなかったのですが、こういう仕事をして、いろいろな方と喋っていく中で少しずつ勉強していきました。

まずWeb2.0企業のコミュニティについて勉強しました。従来のデジタルマーケティングではリーチを伸ばすことが主になっていましたが、それではモノが売れなくなりました。そこで、デジタルマーケティングの中のロイヤリティを高める一つのファンクションとしてコミュニティを活用するようになりました。つまり、Web2.0の企業はコミュニティ構築をデジタルマーケティングの一施策と見ています。

一方で、Web3目線から見たらちょっと見え方が違います。

結論から言うと「Web3のコミュニティは生きがいを得られる場所」だと思っています。

ブロックチェーンというテクノロジーによって、経済の分散化が起こっています。経済が分散化されると当然ながらその上に消費があり、生活圏があります。その生活圏を突き詰めていくと、寝たり食べたりといった基本行動も定義されているけど、学習や自己実現なども生活の一部なんじゃないかと思うようになりました。それこそが生きがいです。

なので、デジタル生活圏の上に生きがいをデザインして、コミュニティを活性化する、つまり生活圏をきちんと作り、その下の経済圏を動かすということです。

そういうふうなところに今行き着いています。

— 生きがいを感じられるWeb3のコミュニティは既存のWeb2.0の世界には存在しないものですか?例えばオンラインサロンなどのコミュニティとの違いはありますか?

そうですね。やっぱりWeb2のコミュニティとWeb3のコミュニティのエッセンスだけ拾っていったらグラデーションだと思います。

ただ、決定的に違うところがブロックチェーンの存在だと思っています。そこがさっき話した「生きがい」の話につながります。

実は「生きがい」はローマ字で日本のカッコいい文化として世界に広まっています。そして、海外の人が「生きがい」を4つの要素から生まれると定義しました。

・Love(好き)
・Strength(得意)
・Needs(需要がある、人から求められている)
・Earn(稼げる)

この4つです。この4つが全て満たされていたら「生きがい」が生まれると定義しています。

そして、この定義をそのままWeb2のコミュニティに持っていくと”Earn”から離れていて、お金を払って集まっています。一方で、Web3に持ってくるとほぼ無意識的なコミュニティもあるかもしれませんが、みんなでNFTの価格を上げるという”Earn”の要素が心の中にあります。

そこがWeb2とWeb3のコミュニティでは決定的に違うところです。


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web3になぜコミュニティが大切なのか

— 続いて「web3におけるコミュニティ」の大切さについてはどう考えていますか?

今までの話の流れで、経済圏を回すための生活圏というのが一つ答えとしてあります。生活圏のあるコミュニティを作ることで経済圏が拡大していきます。

そしてもう一つあります。

”Web3のコミュニティになると、自分を開放して生きがいを感じている”という人をよく見るようになりました。それを掘り下げていくと、大人には中々ない”自己開放”みたいな要素があると感じています。

この”自己開放”が起こる理由は、同じ尖った価値観の人たちが集まることによって、すごく強い心理的安全が生まれるからだと思っています。

例えば、「僕はあつ森(あつまれ どうぶつの森)がめっちゃ好きなんです」というのは、みんなが好きなのでオフィシャルな場所でも言えますが、めちゃめちゃマイナーなゲームを好きだというのは場所を選ぶと思います。家族でも会社でも言いづらかったりします。

でも、それが言えてしまう同じ価値観の人が集まった場所がWeb3のコミュニティだと思います。その心理的な安全性を提供して自分を解放することでより”生きがい”を感じられる作用もあるのではないかと思っています。

特にコロナショック以降、価値観の多様性が強くなっていると感じます。仕事観や人生観など、みんなが考えたはずです。そして、自分の価値観を強く持つことが悪いとか抑えなきゃいけないという考えがなくなってきた時代になってきている感覚があります。

特に若い人はその傾向が強いと思っていて、そうなった時に従来の”みんなこれ買いましょう”とか、”みんなこれいいですよ”というマーケティングは難しくなるだろうと思っています。価値観を尖らせたマーケティングが必要となってきています。その1つの解決策がコミュニティです。

どのようにコミュニティを作ればいいか?

— 最後にコミュニティの作り方について教えてください。

これは普通に考えたら”Discordを立ち上げて、、”とかになるじゃないですか。当然Discordの知識のある人は必要ですが、本質はそこではないと感じています。

本質はやっぱり生きがいをデザインするところだと思います。コミュニティのメンバーさん、コミュニティの外にいる人たちがこのコミュニティになぜ来るか、それもなぜ毎日来るかという理由を作っていく必要があります。それが生きがいをデザインするという作業に繋がります。

そう考えると、ブロックチェーンを知っているかという軸ではなくて、本当に人に対して幸せを提供できるとか、生きがいをデザインできる能力が必要になってきます。エンタメを作る能力に近いかもしれませんね。

— 具体的にどのように“生きがい”を作っていけば良いのでしょうか?

1つあるのは
「コミュニティ側がきちんと求めているもの(Needs)を明示してあげること」です。

多くの人は何となく自分の好き(Love)や得意(Strength)はわかっています。ただ、相当イケイケの人以外は自分から好きなことや得意なことを積極的にアピールすることは難しいです。

そこで、コミュニティ側がきちんと求めているニーズを指し示してあげることが大切です。僕はこれを「余白」と呼んでいますが、「ここからここまでが余白だよ」というのをきちんと提示してあげることで、好きで得意なことが当てはまる人が言いやすくなります。

そもそもこのコミュニティは、NFTのクリエイティブやコンセプトなどである種のフィリタリングがかけられています。クリエイティブはやはり大事で、言語化できない無意識的な価値観が合う人同士をマッチングさせてくれます。

なので、すでに心理的安全性は一定保たれており、自己解放ができる土壌は整っています。そこにプラスして、具体的な自分の活動を通して生きがいを感じられる余白を用意してあげることが大切です。

— 非常に勉強になりました!!ありがとうございました!

はい、ありがとうございました!

コミュニティにまつわる仕事は、AI時代におけるとても人間らしい仕事になると思っていますので、より多くの人に携わってほしいと思っています。


■編集後記

今回はTOMOさんにお話を聞かせていただきました。僕自身、コミュニティに対しての解像度が格段に上がる良い機会となりました。Web3領域でコミュニティを作るキーワードは「生きがい」ですね!ご覧いただいた方の参考になれば幸いです。また、Web3領域でコミュニティ構築にお困りの方はぜひTOMOさんへご連絡するか、シンセカイテクノロジーズにお問い合わせください!

岡崎 智樹(TOMO)
株式会社シンセカイテクノロジーズ CCO
一般社団法人web3コミュニティ協会 代表理事
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