
Discordコミュニティ運営のコツ|エンゲージメントを高める秘訣
近年、web2、web3業界に関わらず、“コミュニティ”や“コミュニティマーケティング”という言葉を耳にする機会が増えてきています。コミュニティ作りを行うため、LINEのオープンチャットや自社ファンコミュニティサイトの立ち上げなど様々なツールが存在しますが、そのひとつとして『Discord』というツールを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ただ、実際にDiscordを用いたコミュニティ作りの事例については、日本ではなかなか見受けられないのが現状です。Discordを使いこなせない人がまだまだ多いこともありますが、
理由のひとつとして『Discordは非常にクローズドである』ということが考えられます。Discord内ではどんなことが行われているのか?どんな風にコミュニティを創り上げているのか?見聞きする機会が少ないのです。
そこで、Discord運営ノウハウを徹底解説する連載企画「Discordガイドブック」が始まりました。
第一弾となる今回は”Discord運営者インタビュー”ということで、新世界DAOを運営するNOKOさんにお話をお伺いしました。
新世界DAOとは?
新世界DAOとは、株式会社SHINSEKAI Technologiesが立ち上げたDAOであり、Web3ビジネス人材を目指す仲間と出会い共に成長し、「好きなこと・得意なこと・必要とされること・稼げること」で自分らしさや『生きがい』を見出していくことを目的としています。
Web3やNFTが世間一般に広く使われる未来へ向けて、Web2企業とWeb3をつなぐ架け橋となるべく様々な領域からアプローチしています。
具体的には、コミュニティマネージャーやモデレーターといったweb3業界には欠かせない職種ごとに分かれた“ギルド”に参加をしてスキルを身につけたり、趣味や得意領域に振り切ったサークル活動やメタバース飲み会などを通じてweb3で活躍する仲間との絆を強めたりすることができます。
2023年10月1日に一般公開され、招待を受け取った人であれば誰でも参加できるようになりました。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000115234.html
新世界DAOのDiscordの様子
Discordの機能である「チャンネルとカテゴリ」「ロール」をどのように設定しているのかをお伺いしました。
チャンネルとカテゴリ
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000115234.html
新世界DAOは以下のカテゴリとチャンネルが展開されています。
- ウェルカム
- インフォメーション(運営から情報を発信)
- ラウンジ(雑談や他己紹介などメンバー主体のコミュニケーション)
- 新世界DAOで動いているプロジェクト毎のチャンネル
- 各ギルドチャンネル
- 各サークルチャンネル
「新世界DAO」という大きなコミュニティの中に、「ギルド」や「サークル」といった小さなコミュニティがいくつも活動を行なっています。
①ギルド
ギルドとは、スキルセットごとにコミュニティのメンバーをグループ分けする仕組みです。
現在、実装されているギルドは以下の通りです。
【コミュマネギルド】
コミュマネギルドはその名の通りコミュニティマネージャーのギルドです。ギルド内では新世界DAO全体のコミュニティマネジメントについてや、コミュニティ分析の議論が行われています。世の中のコミュニティに関する調査・分析もメンバーによって積極的に行われており、『コミュWiki』として情報を蓄積し、コミュニティづくりにおいて非常に参考になる情報としてDAOメンバーに共有されています。
【モデレーターギルド】
モデレーターギルドはWeb3プロジェクトに関わる人々に寄り添いモチベートしていく人材を目指すメンバーが参加するギルドです。モデレーター経験者・未経験者問わず、多くの方が参加しており日々プロジェクト盛り上げ施策に関する経験談やアイデアなどの議論が繰り広げられています。
【Biz-Devギルド】
Biz-Devギルドは、Web3やNFTが世間一般に広く使われる未来に向けて、ビジネス面で様々な連携を図るギルドです。企業案件のみならず、既存のNFTプロジェクトとの幅広いネットワークを活かしながら、企業とNFTプロジェクトとのマッチングによるビジネス創出など、幅広いビジネスモデルを立案・企画・実行できる人材が集まっています。
【エンジニアギルド】
エンジニアギルドは、その名の通りWeb3エンジニアが集うギルドです。Discordのbot情報について収集したり、トレンドの共有、新世界DAOのAkariSBTの実装などを行っています。コミュニティ運営に必要な機能に関する豊富な知識を活かし、時には先回りしてコミュニティマネージャーをサポートできる人材への成長が期待されています。
②サークル
サークルは、「スキルセット」で分けるギルドとは違い、「好きなこと」や「得意なこと」を楽しめる場として誰でも気軽にサークルを立ち上げサークルオーナーになれます。
サークル活動の中で、コミュニティマネージャーやモデレーターなどの擬似体験しスキルを磨く場としても活用できます。メンバーが多くなりサークル活動が活発化した先に、事業としてプロジェクト化していくような事例が生まれることも期待しています。
③役割(ロール)
主に以下のロールが存在しています。
- オンボーディング完了のロール(全部のチャンネルが見れるようになる)
- 各ギルド毎のロール(オンボーディングの中で希望したギルドに対してのロールが付与される)
- サークル毎の部長ロール(自ら作りたい人に付与されるの場合と、運営から活躍してくれている人へ向けてスカウトのような形式で付与される)
- コミュニティマネージャーやモデレーター等の運営ロール
メンバー向けの施策の内容
オンボーディングの流れ
既存のコミュニティに新しいメンバーが入る際(オンボーディング)、そのメンバーがいかにコミュニティのメンバーとして受け入れられるか、入りやすい状況を作ることもとても重要となります。例えば、興味があってコミュニティを除いたものの、誰からも声をかけられなかったり、どのような動きをしていいのかが示されていなかった場合、せっかく興味を持ってくれていたのに、居心地の悪さを感じて早々にコミュニティから抜けたり、入ったままなんのアクションも起こさないといった状況が生まれます。これでは、せっかく熱量の高いユーザーになり得るメンバーを逃すこととなってしまいます。
Discordでは新規メンバーが参加した際に、声かけや、どのような動きをすれば良いのかを案内できる機能を設定することが可能です。実際に新世界DAOのオンボーディングの様子をご紹介します。
新世界DAOでは新規メンバーには以下のフローで1人ずつ厚くサポートしています。
- Discordへ参加すると入会案内カウンターでチケットを作成
- ウェルカムサポーターと1対1のチャンネルで会話
- そこで送られるコンテンツの確認と希望するギルドを選択
- オンボーティング完了のロールが付与されて全てのチャンネルが閲覧可能に
メンバーのアクティブ化の施策
メンバーをアクティブ化させるためには、そのメンバーの興味関心をかきたて、毎日Discordに来る理由作りが必要です。新世界DAOでは以下のような施策でメンバーがアクティブになるように努めています。
①サークル
話題が様々でいきなりディスカッションへ参加できない人もWeb3以外の自分の好きな話題でとりあえず話せるチャンネルを用意しています。
②自己他己紹介
自己他己紹介の形式をとっています。オンボーディング後に最初に自己紹介を投稿してもらい、その後にmixiでいう紹介文的な感じで他己紹介をみんなでします。他のプロジェクトで一緒だった人やXでみたことある人についてお互いに紹介し合います。
③HIBANAコイン(独自の施策)
HIBANAコインという独自コインが存在します。このコインはオンボーディング完了、ファンアート制作、VC登壇などで獲得できます。獲得すると限定リワードと交換できるなど、何かしらの良いことがあります。最初はコイン目当てでも活性化のアクションをしてくれるので結果的に盛り上がっていきます。
HIBANAコインは最近導入されましたが、元々活動してくれていた人がより活動してくれるようになったり、貢献が可視化されてDAOとして嬉しいと感じて、Xでの発信が増えたように感じています。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000115234.html
オフラインイベントの実施
Discord上でコミュニティが盛り上がると、熱量をそのままにオフラインイベントが開催されることもあります。オンライン上でお互いの趣味嗜好を知っているため、実際にオフラインで会った際にも、共通の話題などで盛り上がることができます。実際、当社が開催した「新世界夜会」というイベントには、新世界DAOのメンバーも多数参加してくれました。
シンセカイテクノロジーズが提供するサービスにご興味ございましたら、以下から資料をダウンロードしてください。
コミュニティ運営におけるQ&A
最も大切にしていることはなんですか?
小さいコミュニティをたくさん作ることです。何百人とか何千人の中で発言することはハードルが高いですが、1クラスや部活くらいでは話せたり活動できる人は多いので、そういうコミュニティを何十個も作っていくことを意識しています。また、小さいコミュニティを作るとその中でリーダ的な人が出てくるので、運営としてもやりやすくなる。
小さいコミュニティを作るコツは?
新世界DAOではサークル制度が担っていますが、メンバーが自分で一歩踏み出せるコミュニティとそこへ所属するアイデンティティとしてのロールをしっかり設計することが大事だと考えています。
コミュニティ構築に苦労している人へ、3つアドバイスするとしたらなんですか?
①3人の友達を作る
最初はモデレーターが自己紹介に反応しますが、その後にメンバー間が反応し合えるような仕組みを作って、早めにコミュニティ内に3人は友達がいる状態を作ることが大切です。
②コンセプト
どんなコミュニティなのかを常に答えられるように言語化しておくことも大切です。新世界DAOでは”コミュニティの生きがいは何?”という言い方をして言語化を深めています。
③gmの際に、コミュマネが1日1個話題をふる
gmチャンネルがあるコミュニティが多いと思いますが、毎朝のgmのついでに「今日日曜ですけどどっか行きますか」とか、何かの話題をふることで挨拶ついでに会話が生まれるようになります。
コミュマネはどんな役割を担っていますか?
新世界DAOではコミュニティに関するロール(役割)を細かく切り分けて、それぞれで担当範囲を定めています。コミュマネはKPIベースでコミュニティの健康状態を管理し、改善提案し、モデレーターが施策を実行します。
良いコミュマネはどこで探したら良いですか?
他のコミュニティでも活動を活発にしてくれている人をスカウトするのが早いと思います。あとは、コミュマネではないけどそのコミュニティを盛り上げてくれている人を引っ張ってくるのも良いかもしれません。
また、Web3界隈ではコミュマネは1つのポジションとして認知されており、自分でもやってみたいと思っている人も結構います。すでにコミュマネとしてやっている人に相談してみると、そういった方を紹介してくれるかもしれません!
まとめ
今回は、Discordの活用事例として「新世界DAO」を紹介しました。クローズドでなかなか内部がわかりづらい部分もあるDiscordですが、その中ではメンバー同士がお互いに熱量を高め合い盛り上げている、繋がりの強いコミュニティが創られています。
独自のチャンネルやロール設計、施策の実施などで細かく定められて熱量の高いコミュニティが運営できることがわかりました。新世界DAOに興味がある方はぜひ公式Xより連絡をしてみてください!
シンセカイテクノロジーズでは「新世界DAO」以外にも、下記のようなプロジェクトでDiscordを活用した熱量の高いコミュニティ構築・運用支援を行なっております。コミュニティ作りや、Discordの活用でお悩みのみなさま、ぜひお気軽にご相談ください!
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